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【飲食店の電気代】内訳と平均、節電の方法は?

飲食店をしている方の多くが気になる固定費の一つに電気代があげられます。電気代をもっと節約したい…このようにお考えの方に向けて、飲食店の水道光熱費の相場や使用料の内訳、節約方法についてご紹介します。

飲食店の水道光熱費の平均

一般的には売上の3~5%

飲食店リサーチがインターネットで行った調査によると、一般的な飲食店の平均的な水道光熱費は売上の3~5%程度のところが約6割を占めています。

ただし、厳密には提供する料理によって大きく変わります。たとえば、スープを作ったり麺をゆでたりと水道やガスを使用する時間が長いラーメン店であれば売上の7~10%。鍋料理などさまざまな料理を提供する居酒屋は5~6%程度と高めです。一方、お酒など飲み物をメインで提供するお店の場合は、水道光熱費は比較的抑えられているようです。

電気代削減のニーズが高い

また、他業種と比較して競争率が高い傾向にある飲食店の水道光熱費のなかでも、特にコストカットをしたいと考えられている費用は「電気代」というデータもあります。

前述の調査でみても、電気代が86.2%、水道代およびガス代は72.7%、費用削減に強い興味を示していることが分かります。

参照元:飲食店リサーチ

飲食店のエネルギー使用量の内訳

厨房のガス・電気が50%以上、次が空調、照明

年間のエネルギー量の内訳を示した調査を居酒屋とファーストフード店を例にあげてみていきましょう。

居酒屋の場合、厨房のガスや電気の占める割合が53%、続いて空調と照明がそれぞれ20%と続きます。ファーストフード店では、厨房のガスや電気の占める割合は実に55%、続いて照明が31%、空調20%と、電気代が占める割合が大きいことが分かります。

参照元:【PDF】東京都環境局都市地球環境部計画調整課 外食産業の省エネルギー対策

無理な削減はリスクが高い

節約したい電気代ではありますが、料理の味に直結する食材を扱うため、無理に削減すると食品が腐ったり、味が変わってしまったりすることもあるでしょう。また、空調設備の温度設定が適当でないと、店内で快適に過ごせず来客の不満にもつながりかねないため、無理な削減は避けるのが賢明です。

【夏・冬】飲食店で電力消費が多い時間帯と、節電方法

【夏】飲食店の電力消費が多い時間帯は10時~20時ごろ

一般的に、夏場の飲食店で電力消費の多い時間帯は10時~20時頃。太陽が出ている時間帯が長く日差しが強く、地面からの反射熱も馬鹿にできません。エアコンの電気代や電力消費はどうしても外気温の影響を受けてしまうため、様々な節電方法を考えて暑い日でも電力消費を抑えられるように工夫しましょう。

夏にできる飲食店の節電方法

【冬」飲食店の電力消費が多い時間帯は16時~21時

冬の飲食店において電力消費の多い時間帯は、一般的に16時~21時と、日没後から営業終了までのタイミングとなっています。また消費電力の内訳は空調関連が多く、次いで照明設備となるため、これらの使い方を再検討しましょう。

冬にできる飲食店の節電方法

飲食店の電気代を節約するには?

では、飲食店の電気代の節約方法を、空調と照明、電力会社選びの3つの観点からご紹介します。

空調を見直す

空調制御システムを導入する

お客さんの満足度をあげるために、空調制御システムを導入するのも1つの方法です。このシステムは、空調の運転を制御するとともに、エネルギー効率アップを促進することができ、室内環境にあった快適な室温に調整してくれるのが強みでしょう。

電子ブレーカーを取り付ける

電力の消費を抑えるためにおすすめなのが、電子ブレーカーを取り付けること。電気代の中で多くのウエイトを占めているからこそ、電気代節約につながるでしょう。

エアコンを掃除する

エアコンの掃除を怠ってフィルターがホコリなどによって詰まってしまうと、効果的にエアコンを利用することができなくなり、結果的にエアコンを無駄に使って余計なコストも増大してしまいます。こまめにエアコンを掃除して本来の空調性能を維持することで、電力の無駄な消費を抑えられ、結果的に電気代を抑えることが可能です。

室内の空気を循環させる

室内に物や熱源が多い場合、エアコンを稼働させても場所によって室温に差が生じることがあります。そのような場合には、サーキュレーターや扇風機などを活用して室内の空気を循環させ、エアコンからの冷気をまんべんなく循環させ、空調効果を無駄なく発揮できるようにすると良いでしょう。

室外機の設置環境を見直す

室外機の置き方が悪いと、室外機から放出される熱風によって室外機の温度センサーが誤作動してしまい、本来の外気温よりも高温だと誤認してしまいます。基本的に室内と室外の気温差が大きいほどエアコンの消費電力も増大していくと考えられているため、エアコンの室外機の設置環境を整えて適正化することにより電力消費も抑えられます。

照明を見直す

LEDに変える

既存の照明をLED照明に変更することで、日常的な電力消費量を削減することが可能です。ただし、現在の照明を撤去してLED照明に変更するイニシャルコストが発生するため、即時的にコスト削減を叶えるという方法でなく、あくまでも長期的なランニングコストの軽減によって電気代の節約を進めていくやり方であることがポイントです。

なお、照明のLED化は地域によって助成制度を利用できる場合もあります。

電気使用の無駄を意識して、消灯に取り組む

電気を付けている時は常に、電気代がコストとして発生していると意識することも大切です。

店舗の営業に差し支えるような節電対策は本末転倒といえますが、誰もいない部屋の電気はこまめに消すなど、不必要な電気を使わず意識的に消灯したり節電したりすることで、電気代を抑えていくことが可能です。

電力会社の切り替え

現在契約している電力会社から別の電力会社へ乗り換えたり、同じ電力会社であっても電気料金のプランを再検討したりすることで、電気代削減を効率的に進めることができます。

電力会社の中には工事費などの初期費用を無料にしているところもあり、現在の契約からスムーズにお得な電力会社や料金プランへ乗り換えられる可能性はあるでしょう。

冷蔵・冷凍設備の見直し

冷蔵庫や冷凍設備は年々性能が向上しており、省エネ性能についても古い機種より新しい機種の方が優れているケースは少なくありません。

そのため長期的なランニングコストを考えれば、冷蔵・冷凍設備を刷新することで電気代の削減につながる可能性はあります。

ただし、既存の環境を新しいものへ変える際にもコストが発生するので、機械の耐用年数なども考慮しながら、そもそも設備の見直しが必要なタイミングなどのチャンスを有効利用してください。

冷気が逃げないようにカーテンを設置する

冷蔵庫や冷凍庫、食品保管庫などにビニールカーテンを取り付けて、食品を出し入れする際の冷気の流出を防ぐ方法は有効です。また、冷蔵庫の扉や保管庫を長時間開けずに済む効率的な食品の出し入れを考えることで、外気に触れる時間そのものを短縮する工夫も必要です。

まとめ

紹介してきた節約方法は、比較的取り組みやすいものばかりです。これらの積み重ねで電気代を数%でも削減することができれば、飲食店の利益率アップにつながるでしょう。ただし、どこから対策するのがいいのかなどは、どうしてもお店によって変わってきます。そこで、まずは電気代やガス代などそれぞれの省エネを得意としている業者に相談してみるといいでしょう。