業界や業種にかかわらず、一般家庭における電気代と比較して店舗の電気代は高くなります。このページでは店舗の電気代を節約するポイントを解説しました。
根本的な考え方として、店舗の電気代を節約するために顧客の満足度や快適さを犠牲にすることは厳禁です。顧客に負担をかける方法で電気代を節約できたとしても、結果的に売上が減少してトータルの利益は減少します。
例えば真夏に職場の空調設備をオフにして従業員を働かせてしまうと、従業員の労働意欲が低下して生産性が悪化します。電気代を節約して一時的にランニングコストを減少できても、劣悪な職場環境は事業悪化を招いてしまうでしょう。
そもそも労働環境や衛生環境については法律による定めや努力目標があり、それらに合致することが望ましいとされています。
室温を例にすると、空調設備のある事業所は、従業員が常時就業する部屋の室温を18℃以上28℃以下に維持するように努力目標が改定されました(2023年2月時点)。これは働く人の労働環境や健康を守るための省令です。
電気代を節約しても、それで収益や企業力が悪化すれば本末転倒です。言い換えれば、支出としての電気代に対して得られる事業効果がどの程度か冷静に計算することが大切です。
飲食店では飲食スペースとしての環境を作るだけでなく、生鮮食品の管理や調理に様々な機器や業務用設備を使わなければならず電気代が高くなりがちです。
例えば倉庫やバックヤードの照明をこまめに消したり、トイレの照明に人感センサーを採用したりして、使用していないタイミングでの電力消費を抑えることは有効な手段といえます。
電気プランや電力会社によって基本料金や、従量課金の仕組みが異なることも重要です。飲食店は営業時間やコアタイムは店舗によって様々であり、自社の営業スタイルにマッチした電気プランや電力会社を選択することで、大きく電気代を抑えられる可能性があるでしょう。
電子ブレーカーとは電気機器の起電力を抑えるための機器であり、業務用エアコンのような三相200Vの電源を活用する電気設備を導入している店舗に効果的です。
電力契約や電気料金は、その店舗における電力使用量の最大値をベースとして基本料金が設定されます。また、電気設備は起動時の電力(起電力)が最も大きくなるため、電子ブレーカーを使って起電力を抑えることで電力消費の最大値を抑えられ、電気料金の基本料金の抑制につながります。
ただし電子ブレーカーには違法性のある商品もあり、電子ブレーカーの設置には必ず電力会社と相談して正規の品を活用するようにしてください。
照明装置を電力消費の少ないLED照明に変更することも有効です。
エアコンのフィルターなどを定期的に清掃することで、エアコン設備の効率をアップさせて無駄な電力消費を抑えられます。
飲食店と一口に言っても、朝から夕方にかけて営業する店なのか、夜間営業がメインの店なのか、あるいは取り扱う食材の種類や保管方法などによって業務形態は千差万別です。また、店舗の規模やスタイルによっても環境が異なり、必要な電気設備や業務機器も異なっています。
そのため、電気代を節約する際も、まずそれぞれの店舗の特徴や営業の特徴をきちんと理解した上で、適切なプランを考えていくことが欠かせません。
オフィスではパソコンやOA機器のような電気機器の他にも、エアコンや空気清浄機など職場環境を向上させるために様々な設備が利用されており、電気代を節約する際はそれぞれの機器の特徴や目的を把握しておく必要があります。
オフィスの電気代節約を考える上で真っ先に試みるべきはエアコンや空調設備の温度調節です。
省エネ対策として冷暖房の温度を調整し、過剰に冷やしたり温めたりといったことを避ける手法は一般的です。ただし、夏の暑さで業務効率が悪化したり、冬の寒さで従業員の体調が悪くなったりしないように、あくまでも従業員の労働環境の保護を念頭に置いておくことも大切でしょう。
エアコンの室外機の設置環境によっては、設定温度に対して消費電力が過度に大きくなることがあります。室外機の周囲の換気を良くしたり、熱がこもらないよう対策したりすることがポイントです。
オフィスの天井照明をLEDに変更して、電気の消費量を根本的に抑えることも有効な対策でしょう。
就業時間や出勤・退社のタイミングを季節や時期によって見直すことも有効な手段です。また、業種によってはリモートワークなどを取り入れて、オフィスで稼働する電気機器の絶対数を抑えるといったことも考えられます。
電力会社によって電気代の基本料金が異なっており、また契約プランによっても電気代は変わってきます。そのため、現在契約している電力会社だけでなく他の電力会社の契約内容なども参考にしながら、プランの比較検討を行ってみましょう。
電気代を節約することは企業の省エネ対策やランニングコストの圧縮に有効な手段ですが、そもそもコスト削減は企業としての社会責任を果たすためだけでなく、利益率を高めるためといった目的があります。
電気代の節約ばかりに意識を奪われて労働環境が悪化すれば、従業員の労働意欲が低下したり生産性が低下したりと、事業として本末転倒になりかねません。
あくまでも働きやすさを損なわない範囲で電気代の節約方法を検討してください。